トピックス TOPICS

TOPICS

  • Organization Development

【組織開発】ダイバーシティ&インクルージョンの本質

「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」の認知度も今や高まり、推進する企業も増加しています。多様な人々が個性・価値観や能力を相互に認め、受容し、発揮し合う組織体制・文化のなかで創出される価値創造―これがD&Iの目指す姿です。

 

■D&Iを推進することにより得られる主な効用

1.イノベーションの創出

2.生産性の向上

多様性ある能力が有機的に発揮され、従業員エンゲージメントも上がり、従業員の組織への定着度や貢献意識も高まることでしょう。D&I推進のため、専属部署を設置し、本格的に取組まれている組織も多くあります。

 

■D&I取組みにおける主な施策

1.多様な人材・働き方受容の組織体制づくり

2.多様な人材・働き方受容の意識改革推進

制度の刷新や、意識改革を目的とした研修実施が取り組まれています。

 

■D&I推進における主な問題

1.新たな組織体制と生産性向上のギャップ

2.無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)の存在

属性的に多様性ある人材を得るだけでは、完結しません。多様な発想や意見が存在するだけでは、イノベーションは創出されません。新たな制度に刷新されても、関係する人々の合意が無ければ、機能しません。結果的に、生産性向上にはつながりません。

無意識の偏見は、容易に排除できるものではありません。

 

■D&I推進取組みにおける重点

1.トップリーダーの覚悟と強い発信力

本気でD&Iに取組み、組織に変革を起こしたいのであれば、トップリーダー自らがその意義と目的を明確にすること、そして関係する人々全員に向けての強い発信が先ず求められます。

2.管理職の適材適所

D&Iの意義・目的を正しく理解し、推進していく能力を有する人材の登用が必須です。D&Iに限りませんが、管理職に求められる能力・資質を見直し、「多様な」発想や意見の統合、意思決定に有益な系統を確保することが重要です。組織事故も内向きの組織風土から生じます。風通しがよく、有機的組織をつくるうえで、管理職の適材適所は必須要点です。

3.現状把握と課題設定

組織の現状をありのまま把握しなければ、目指すところへは到達できません。どんなに秀悦なシステムや考え方を導入しても、高く機能することが望まれません。現状を整理し、何が脆弱なのか、優先的にどこを強化していくべきなのか等を適切に、ていねいに計画を立てていくことが求められます。

多様性ある人々が存在していないのか、多様性ある人々が存在するしくみがないのか、存在するも声が届くしくみがないのか、声が届くも統合する能力が不足しているのか、声を統合できるも具現化できないのか、能力が発揮されていないのか、その障壁は何か、……。

蓋をせず、現状のすがたを先ず認識するところからはじまります。

 

体裁だけ整っても、人の気持ちがついていかなければ、機能しません。「カタチは整ったが、機能せず」という結果に陥りかねません。関係する人々が、理解し、納得し、人の取組みと組織の取組みが融合したとき、D&I推進が加速します。

「多様性を活かす」のは何のためなのか、ていねいに向き合い、本質的な取組みが求められています。

 

村上紀子