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Organization Development
【組織と個人がやるべきこと】変わる働く環境
■雇用環境の変化
日本に長く定着してきたメンバーシップ型採用。新卒一括採用、終身雇用、年功序列が特徴として挙げられます。社会環境、経済環境の激変に伴い、働き方も大きく変わろうとする昨今、採用の在り方も問われています。早々にジョブ型に切り替えた企業も出てきています。
ジョブ型は、先に仕事(ジョブ)が存在し、明確な職務、必要なスキル、求められる成果などが定められており、そこへ適正な人材の獲得が行われる採用スタイルです。欧米において主流であるジョブ型に、日本の企業がすぐに切り替えることが、果たして有効なのでしょうか。どの手段を選ぶにせよ、採用後、共に働き、人に役割を果たしてもらいながら、企業も個人も共に成長していける組織であることが望ましい姿です。
■日本企業のこれから
日本の企業がすべて、いきなりジョブ型に変更するとどうなるでしょうか。人材を求める組織と仕事を求める人の、需要と供給バランスの適正な成立は考え難いかもしれません。日本においても、良し悪しは別として、将来的に多くの企業がジョブ型へ移行していくことはあり得るでしょう。しかし、現状では、ごく限られた企業や個人を除き、双方にその準備が十分整っていないと考える方が自然です。
社会人になるまでの教育の在り方が、欧米と日本では相違があります。現在日本においては、職業選択に関する指導が、若干取り入れられているに過ぎません。社会人になる前に自身の専門スキルやその程度を認識している学生が、日本にどのくらい存在しているでしょうか。社会人でも同様です。自身のキャリアや、専門性、実績を常時明確に伝えることができる社会人がどれくらい存在しているでしょうか。
■「メンバーシップ型」も「ジョブ型」も手段
日本において、メンバーシップ型が良いのか、ジョブ型が良いのか、あるいはまったく違う独自のスタイルがあるのか、企業によって選択していくことになります。そして、それらは、手段にすぎません。「必要な仕事(役割)」と「必要なスキル(人)」とのマッチングのための手段です。企業は長短期両視点で、必要な役割を把握する必要があります。なぜならば、企業は経営を継続させなければいけないからです。
■企業と個人がやるべきこと
このような状況下、企業と個人に、いま求められる準備は何でしょうか。
企業には、採用スタイルを問わず、ジョブディスクリプションを適用するか否かは別として、すべての業務の役割を今一度整理、把握することが求められます。効率的な組織開発に貢献するからです。人事評価、業務分担、人材配置、採用、組織内部統制等の基盤になり得るでしょう。
個人に求められることは何でしょうか。まず、「働く環境の変化」を認識することは必至です。そして第一に、現在の、自分にできることの整理です。専門性があるのかないのか。得意なことは何なのか。どの程度、出来るのか。何をしているときが、最も自分が心地よいのか等の棚卸です。次に、将来どのような仕事をしたいのか考えることです。どのような働き方あるいは暮らし方をしたいかもあるでしょう。最後に、そのためには、今何を学ばなければいけないのか、何を準備し、何を努力すればよいのかを考えることです。現在と自ら描いた未来との差を埋めていくために、何をしたらよいかを考える作業です。やりたいことは、人それぞれです。あるべき姿も、人それぞれです。正解も、優劣も在りません。自分で選び、自分で決めたことが、尊重されるべきことなのです。
■止まる組織と進む組織、止まる個人と進む個人
企業にも、個人にも、共通して問われること。「いかにあるべきか」の問いかけです。自身でVISIONを描き、目的を決め、目標を定め、自ら進んでいくということです。個人と企業の求めあう役割やVISIONが融合したとき、良い仕事が生まれていくのではないでしょうか。理想的な話と捉えるか、自分ごととして捉えるか、それは自由です。
止まるか、進むか、私たちは選択する自由があるのですから。
村上紀子