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女性活躍の現状と女性起業家のビジネスプラン

女性活躍推の現状

2016年4月女性活躍推進法が制定され、企業に対する女性労働者への職業生活機会提供、雇用環境整備などの観点から、具体的数値目標を定めるなどの義務、努力義務を課せられるなど、段階的に施行されています。生産人口の減少、国家戦略としてのダイバーシティー経営戦略を背景に、「女性活躍」というキーワードは現在不可欠になりました。女性活躍推進は、企業で働く女性従業員だけではなく、経済市場への起爆剤となるべく、女性の働き方の選択肢としての起業を醸成し、女性起業家の発掘、育成などさまざまな促進事業が行われています。

参考1;出典 経済産業省 女性活躍に向けた経済産業省の取組み(経済社会政策室,2018.5)

 

一方、政府の目標であった「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標」には程遠い現実(参考1)があり、2020年6月「2030年までの可能な限り早期実現」への繰り延べ調整示唆から、さらに同年7月には「20年代の可能な限り早期」と先送り方針を示しました。なかなか浸透させるには厳しい現状があります。

女性起業家についてはどうでしょうか。㈱帝国データバンク調査によると、「2018年 4月末時点の企業における女性社長比率は 7.8%。30年前(1988年)は 4.2%、20年前(1998 年)は 5.5%、10年前(2008年)は 6.3%と推移し、全体では緩やかな上昇傾向が続いている」(参考2: )とあるように、ゆるやかに女性の社長率は上昇はしてきています。(ただし、この数値には事業承継者も含まれています)

・参考1;経済産業省 女性活躍に向けた経済産業省の取組み(経済社会政策室,2018.5)

・参考2;女性社長比率調査 (株式会社帝国データバンク,2018)

 

女性起業家が取り組むビジネスプランの傾向〜考察〜

私は女性の起業支援に携わらせていただくなか、起業を目指す方々の実に感性豊かな着眼点、多種多様なスキル、そして「誰かの役に立ちたい」という強い想いからの発想力には感服するばかりです。事業規模の大小を問わず、そこには確かに理念が存在します。ご本人がそれを「理念」「使命」と当初意識していなかったとしても、確かに存在しています。特に女性の起業は、自身が経験してこられた課題を活かしての事業展開であることが少なくありません。「世の中に、こんな人たちを助ける仕組みが無い。無いなら、自分がつくる。」エネルギッシュに行動を起こした方が、起業していきます。

 

多くの方々のご相談を受けるなかで、ここ数年で、事業の内容に少し変化がみられるように感じています。2019年働き方改革関連法施行がはじまる前後くらいからでしょうか。トップキーワードが「女性活躍」から「働き方改革」へ変わりだしたころと重なるかもしれません。自身のスキル・キャリアの延長線上での起業相談がほとんどでしたが、最近ではあきらかに、子育て支援、はたらく母親支援、高齢者(介護)支援、そして女性のライフデザインに関する事業など、はたらく女性へのサポートに関連した事業内容でのご相談が増えてまいりました。

 

そこには、日本社会で、まだまだ序章であり、浸透できていない「ダイバーシティ経営」「女性活躍」「働き方改革」の現状が影響しているのではないでしょうか。企業・組織で働く女性たちは、自分たちに課せられた使命や役割に矛盾を感じている人々もいます。真面目に、責任感強く頑張ればがんばるほど、矛盾やギャップを感じてしまう傾向が伺えます。家庭のことも大切、しっかり子育てもしたい、組織にも貢献したい、将来的に自信ある女性として輝いてもいたい。理想的な女性活躍が唱えられるなか、家庭と組織との狭間で、自らの人生のライフプラン・キャリアプランを描き切れない方が少なくないでしょう。子供を安心して、時間も気にすることなくあずけられる環境がなければ、結果的に組織から離脱せざるを得ない現状がいまもなお、厳しく彼女たちに降りかかっています。ほんとうは、理想を言えるならばあずけることをせず、自身でしっかり子育てをしたい、と思われている方も多いとお聴きします。そうしてしまうと、ほんとうに、社会から離脱してしまうのかと不安を感じる、と。さらに、介護の課題も同様に降りかかります。形式的に男性にも育児休暇制度を適用するくらいでは、そうした女性たちの課題解決に対して即効性はなさそうです。

そのようななかで、子育て支援事業、はたらく母親支援事業、介護支援事業などのはたらく女性を支援したいという発想が生まれてくるのだと思われます。実質的な女性活躍がなかなか浸透しないなか、自ら仕組みづくりが出来ないかと、事業構想する女性たちが増えてきているといえるのではないでしょうか。

 

違う見方をすれば、そこに現在の社会的課題があるのだと感じています。もちろん、そこから良い事業が生まれ、事業主よし、使用者よし、社会よし、の三方よしのビジネスが生まれることは、素晴らしいことです。課題からビジネスは生まれるものです。しかしながら、この社会的課題は、社会全体の、私たち全員の課題として、関心をもち、議論していかなければいけないことだと感じます。自身にできることを模索しながら果敢に挑む人々の真摯な姿に触れるに際し、彼女たちだけに任すことなく、一人ひとりがそれぞれの立場で現状を見据え、未来の社会の在り方を考えなければいけないことなのだと、あらためて感じています。

 

村上紀子