-
Organization Development
【組織開発】パワーハラスメントVol.2
職場における「パワーハラスメント」の痛ましいニュースが、止むことなく入ってきます。ニュースとして報道されているということは、不幸な事件が生じてしまった後です。胸が締め付けられる思いです。
経営幹部が謝罪し、責任として減給などの処遇を受ける、「再発防止に努めます」と述べる。勿論けじめをつけることは大切です。しかしながら、本質的な組織改革、意識改革の重要性を、心底理解されているのでしょうか。
加えて、他社ごとで眺めることなく、「自分の組織は大丈夫」という過信を抱くことなく、職場環境の整備、安全の確保についてあらためて一考する機会にされたいところです。
【機能していないコンプライアンス部署】
一定の規模の企業には「コンプライアンス部署」も設置され、相談窓口も整備されています。または、「人事部」がその役割を果たしている企業もあります。
「コンプライアンス部署」は誰のため?何のため?に設置されているのでしょうか。
「ハラスメントを受け、コンプライアンス室へ相談しましたが、なにもしてくれませんでした。その後一層上司からのハラスメントが強くなりました」このような声があってはならないのです。
コンプライアンス部署が、「問題をもみ消す部署」になっていませんか?「カタチだけの部署」になっていませんか?
本来の機能、役割をきちんと果たすべきであり、経営は役割を担える人事を執行するべきです。
【個人と組織による共創】
いまだに、経営側の「仕事を与えている」という深層意識が伺える組織があります。「職場環境の整備、安全の確保」という、大前提が成されないというのは、その現れかもしれません。
ハラスメントの知識研修も大切な手段の一つですが、それだけ行っていれば安心であるはずがありません。ハラスメントを与えてしまっている人には、「自分がハラスメントをしている」という認識がないことがほとんどです。
社員全員が揃って意識向上していくわけではありません。だから、人材配置は重要なのです。管理職にするべき人材を、リーダーに置くというとても繊細で重要な工程を、ていねいに図るべきです。人材戦略は経営戦略である、という所以です。
個人が能力を存分に発揮でき、組織はその力を集束し、掛け合わせ、社会へ循環させていく。個人と組織による共創の場所づくりを、経営は意識し、改革していく必要があると感じています。
DXも、SDGsも、あらたな価値創造も、重要です。しかし、「職場環境の整備、安全の確保」ができていなければ、何れも成されないのではないでしょうか。とてもシンプルなことなのに、実現しない組織があるのは、なぜでしょうか。
組織は何のために在るのか、そのために何をするべきなのか。本質を問うと、視えてくるはずです。
健全な組織に、人は集い、育ちます。
人が強い組織をつくり、未来を拓いていきます。
村上紀子